昔、子供のいない老夫婦が、「子供が欲しい」と神様に祈っていました。すると、子どもが生まれましたが、とても小さく、手の指ほどの大きさしかありませんでした。両親はその子を大切に育てました。

その子は小さくても、心は強く成長しました。ある日、その子は「都に行きます。広い世界を見てみたいのです」と言い、両親に別れを告げて旅に出ました。その子は針を刀、お椀を傘、杖を箸にして、都に向かいます。

都に着いたその子は、ある屋敷に仕えることになり、お姫様（若様）を守る役目を任されます。ある日、鬼がお姫様（若様）をさらおうとしますが、その子は勇敢に立ち向かい、鬼の体内に飛び込み、持っていた針で鬼を刺しました。鬼は苦しみ、逃げていきました。

逃げる鬼は「打ち出の小槌（うちでのこづち）」という不思議な道具を残していきます。この小槌を振ると、その子の体が次第に大きくなり、ついには普通の人間の大きさになります。

その子はお姫様（若様）と結婚し、幸せに暮らしました。